栄とし覚え書き(日記)
また1人、名工が逝く
2009年01月27日
今ほど、お通夜から戻ってまいりました。家の前の佐藤さんが82歳で黄泉の国へ旅立たれました。
佐藤さんは、二十年ほど前まで「握り小ばさみ」を鍛えていらっしゃいました。鍛冶屋を廃業される少し前に「これ、最後らっけやるれ(これ、最後だからやるよ)」といって1本頂きました。今でも現役で使っています。
本当に使いやすいのです。
切れるんです。
しかし、世間の人々は「見栄え」「安い」で、大量生産の直ぐに切れなくなるハサミを購入しました。その結果、佐藤さんのような名工が鍛える「握り小ばさみは」消えてしまったのです。
最近、「このハサミ切れない」と言う家族の話しているのを聞きました。すると、「このハサミよく切れる」と言う子供の声を耳にして、私も試し切りをしました。
全く切れないのです。
私は、唖然として子供とその親を見ました。
この家族の「切れる」程度はこのレベルなのだと、佐藤さんの鍛えたハサミを使ってみれば、きっと大変驚いたことでしょう。
大量生産が美徳の時代は終わったのではないでしょうか?
たかが、鍛冶屋の世界ですが、もう手遅れに近い危機的状況です。
何とかならない物でしょうか(^^)”
刃物を鍛えて160年
佐藤栄としノミ製作所
佐藤 亘